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生成AI・ChatGPTの情報漏洩事例5選|原因と企業が今すぐできる対策4つ

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企業のAI情報漏洩リスクと対策

「議事録の要約をChatGPTに頼んだ」「ソースコードのバグをAIに直してもらった」——こういった使い方、社内でも当たり前になってきていると思います。

「AIに何を入れるかは気をつけた方がいい」という感覚はある。でも具体的に何がどう危ないのか、正直よくわかっていないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、実際に起きた事例をもとに、AIによる情報漏洩の仕組みと今すぐできる対策を整理します。

生成AI・ChatGPTの情報漏洩事例5選

「理論上のリスク」ではなく、すでに大手企業やAIサービス自体で実際に起きています。主な事例は次のとおりです(出典は各解説に記載)。

時期事例漏洩の原因
2023年3月ChatGPTのバグで他人の履歴タイトル等が表示サービス側の不具合
2023年5月報道大手メーカー社員がソースコードをChatGPTに入力社員の入力
2023年6月ChatGPTのログイン情報が闇市場で流通(仕組み③で解説)端末のマルウェア感染
2025年6月Microsoft 365 Copilotの情報漏洩の脆弱性AIへの命令の注入
2025年8月ChatGPTの共有チャットが検索結果に表示公開設定の誤解

大手電子機器メーカーでのソースコード流出

2023年、大手電子機器メーカーのエンジニアが開発中の製品ソースコードをChatGPTに貼り付け、バグの修正を依頼しました。コードには製品の設計情報など、外部に一切出してはならない機密情報が含まれていました(報道:Bloomberg「Samsung Bans Staff’s AI Use After Spotting ChatGPT Data Leak」2023年5月2日、確認日:2026-10-06)。

当時使用していたとされるChatGPTは入力内容を学習データとして使用する設定になっており、社外秘のコードがAIの学習に取り込まれるリスクが生じたと報じられました。同社はその後、社内での生成AI利用を制限したと報道されています。悪意はゼロで、「バグを早く直したかった」という普通の動機で起きた事故です。社内でのAI利用ルールがなければ、同じことはどの会社でも起こり得ます。

ChatGPTのバグによる他ユーザーへの履歴流出

2023年3月、ChatGPT自体のシステムバグにより、あるユーザーのチャット履歴のタイトルなどが、まったく無関係の別ユーザーの画面に表示されるという事故が起きました(OpenAI公式「March 20 ChatGPT outage: Here’s what happened」、確認日:2026-10-06)。同じ不具合で、ChatGPT Plus会員の1.2%について氏名・メールアドレス・カード番号の下4桁などの支払い関連情報も他の利用者に見えた可能性があったとOpenAIは公表しています(報道:Infosecurity Magazine 2023年3月29日、確認日:2026-10-06)。「学習に使わない設定にしている」「有料プランだから安全」という認識は、システム障害が起きた瞬間には意味をなしません。

AIサービスに入力した情報は、何らかの形でサーバー上に残ります。そのサーバーが完璧に安全であり続ける保証は、どのサービスにも存在しません。

Microsoft 365 Copilotの情報漏洩の脆弱性

2025年6月、Microsoftは深刻度「Critical」の脆弱性(CVE-2025-32711)を公表しました。AIへの命令を外部から紛れ込ませる手口で、攻撃者が情報を引き出せるという内容です(CVE.org「CVE-2025-32711」、確認日:2026-10-06)。社内データを読み込むAIほど、外部の文章が攻撃の入口になり得ます。

ChatGPTの共有チャットが検索結果に表示

2025年夏、共有時に「検索エンジンで見つけられるようにする」を選んだChatGPTの会話がGoogle検索に表示され、利用者を推測できる内容を含むものも数千件見つかったと報じられました。OpenAIは意図しない共有の機会が多すぎたとして機能を廃止しています(報道:Fortune 2025年8月5日、確認日:2026-10-06)。欠陥ではなく、公開範囲の誤解から起きた事例です。

起こり得るケース:議事録をそのままアップロードする

ここからは実際の事件ではなく、身近に起こり得るケースです。重要な経営会議の録音データを文字起こしし、そのまま生成AIに渡して要約を作成させたとします。入力されたテキストには、未発表の新事業・人事情報・財務の見通しなど、外部に出れば大きな影響を与える情報が含まれることになります。「要約するだけだから大丈夫」という感覚が、情報漏洩の入口になります。

「悪意がない」から気づけない、AIの情報漏洩

従来の情報漏洩は「ハッカーによる不正アクセス」や「内部の人間による持ち出し」が主な原因でした。だから対策も「外からの攻撃を防ぐ」「怪しい行動を監視する」という方向性になりがちでした。

しかしAI時代の情報漏洩は、まったく違う構造で起きます。普通の業務を、普通のやり方でやっているだけで、気づかないうちに情報が外に出ていく。これがAI特有のリスクです。

なぜ漏れるのか——3つの仕組み

事例を見ると「自分ならやらない」と思うかもしれません。ただ仕組みを理解すると、実は身近な行為がリスクになっていることがわかります。

① 入力内容がAIの学習データになる

多くの生成AIサービスは、無料プランや初期設定のままだと、ユーザーの入力内容をAIの改善・学習に利用します。社員が入力した顧客情報・契約内容・未発表情報が、将来的に他のユーザーへの回答に影響する可能性があります。個人向けプランは有料でも学習の対象になり得るため、法人向けプランへの切り替えか、個人プランでの学習オフ設定で対応します(OpenAI:Data Controls FAQ/Anthropic:Updates to Consumer Terms、確認日:2026-10-05)。ただ、私の見てきた範囲では、確認せずに使い続けているケースも少なくありません。

② チャット履歴がサーバーに残り続ける

AIとのやり取りはサービス提供会社のサーバーに保存されます。学習オプトアウトの設定をしていても、データ自体がサーバーに存在する限り、外部攻撃やシステムバグによる流出リスクはゼロにはなりません。

③ 社員の端末経由でログイン情報が抜かれる

企業のシステムが安全でも、社員の端末に悪意のあるソフトウェアが侵入していれば、AIサービスへのログイン情報や入力内容が第三者に抜き取られます。例えば、怪しいメールの添付ファイルを開いたり、不審なサイトからファイルをダウンロードしたりすることで、知らないうちにキー入力や画面を監視するプログラムが端末に入り込むことがあります。近年は、こうした端末への不正侵入で抜き取られた主要AIサービスのアカウント情報がダークウェブ上で取引されているという指摘も出ており(セキュリティ企業Group-IBは2023年6月、ChatGPTのログイン情報が保存された感染端末を10万台以上、ダークウェブの闇市場で取引されている盗用データの中から見つけたと発表しています。Group-IB プレスリリース、確認日:2026-10-06)、AIそのものの安全性とは別に、利用する側の端末管理が漏洩の経路になり得ます。

今日からできる4つの対策

私自身、日々の業務でAIをかなり使っています。そのうえで一番気をつけているのは、便利さに慣れるほど「これくらいなら大丈夫」の線引きが甘くなっていく、という点です。たとえばクライアントから受け取った資料や、社外秘のやり取りをそのまま貼り付けたくなる場面は実際にあります。そこで私は、AIに渡す前に固有名詞や数値を伏せる、使うツールと設定を決めておく、といった当たり前の手順を「面倒でも毎回やる」と決めています。特別なことではありませんが、自分で運用してみると、結局はこの地道な習慣が一番効くと感じています。

リスクの話ばかりしていても仕方がないので、現実的に今日からできる対策を4つ整理します。技術的な知識は不要で、意思決定とルール作りで対応できるものがほとんどです。

① 「AIに入れてはいけない情報」を明文化して全社に周知する

顧客の個人情報・契約書・未発表の経営情報・ソースコード・パスワードなど、入力禁止の情報をリスト化し、全社員に伝える。ルールがなければ社員は善意で情報を入力してしまいます。

② 使用するAIツールを会社として指定する

社員が各自で好きなAIツールを使う状態は危険です。会社として承認したツールのみを使用するよう統一し、セキュリティ設定が適切なものを選定する。承認されていないツールの使用禁止も明記しましょう。

③ 学習オプトアウトの設定を今すぐ確認する

ChatGPTをはじめ多くのサービスには「入力データを学習に使用しない」設定があります。個人向けプランは有料でも学習オフの設定が必要な場合があり、法人向けプラン(ChatGPT Business・Claude for Work など)は初期設定で学習に使われません。今使っているツールのプランと設定を必ず確認してください。

④ 「なぜ危ないのか」を社員全員が理解できる状態にする

ルールを作っても、背景を理解していなければ守られません。「禁止」だけでなく「なぜ禁止なのか」を伝えることが重要です。定期的な研修や事例共有で、AIリテラシーを組織全体で底上げしていきましょう。

全部を一気にやろうとしなくて大丈夫です。まずは入力禁止情報のリストを作って社員に送る——これが今日からできる、いちばん手軽な一歩です。完璧なルール整備より、まず動き出すことが重要です。

生成AIの情報漏洩に関するよくある疑問

Q. 顧客の個人情報をAIに入力すると法律違反になりますか?

個人情報保護委員会は2023年6月、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答の出力以外の目的で扱われる場合は個人情報保護法違反となる可能性があると注意喚起しています。入力するなら、サービスが機械学習に使わないこと等の確認が前提です(個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」、確認日:2026-10-06)。

Q. ChatGPTの共有リンクは使っても大丈夫ですか?

リンクが社外に渡れば第三者に読まれ得るものとして扱うのが安全です。社外秘を含む会話は共有しない、と社内ルールに入れておくことをおすすめします。

まとめ

生成AIを業務で使うこと自体は、正しく使えば強力な武器になります。問題は「便利だから」という感覚で使い続け、リスクを把握しないまま社員全員が思い思いのやり方でAIを使っている状態です。

今のうちにルールを整備しておくことが、後から取り返しのつかない情報漏洩を防ぐための、最も効果的な第一歩です。まず「入力してはいけない情報の明文化」と「使用ツールの統一」から始めてみてください。どのツールをどう選ぶかを含めた全体像は生成AIツール活用の始め方ガイドにまとめており、安全を前提としたAI導入の進め方そのものは中小企業のAI導入は何から始める?と生成AI導入の進め方|失敗しない5ステップで具体的に解説しています。

IgyではAIを活用したマーケティング支援を行っています。「AIを安全に業務で使いたい」「どのツールをどう導入すればいいかわからない」という方は、まずサービス詳細をご確認いただくか、お気軽にご相談ください。

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